特定事業所加算Ⅱの具体的な取得方法

訪問介護事業所の特定事業所加算Ⅱを取得する為には、体制要件と人員要件を満たす必要があります。また、体制要件や人員要件を満たすために、設備投資を先行する事をお勧めします。

加算取得のための準備期間は、半年程度を要しました。一番大変だったのが、スマートフォンの記録アプリを使ったサービス提供内容の入力です。当社では60代のパートさんもいるので、何度も何度も会社に来てもらい、記録の入力方法を講習しました。現在では、ほとんどのパートさんがご自分で入力できるようになり、サービス提供責任者の実績入力の時間が大幅に短縮されました。当社では、実績は毎月1日には上がるようになりました。

1.設備投資

特定事業所加算Ⅱを取得するために、事前準備として、設備投資を行う事を薦めます。当社で行った事は、1.パートを含め従業員にスマートフォンを貸与(ワイモバイル)、2.請求ソフト(当社は、カナミック)の記録アプリの契約(カナミックのカナエルタッチ)、3.WEB研修の契約(ツクイさんのイーケアラボ)、4.会社携帯にLINEの導入(グループ作成)、5.ファイルサーバーの契約(コワークストレージ)、6.従業員の自宅で使用するPCの貸与(DELL)、7.クラウド勤怠管理システムの導入(ジョブカン勤怠)を行いました。尚、ジョブカン勤怠は、LINEと連携できるので、LINEの中でジョブカン勤怠とのトークで「打刻」とメッセージを送ると打刻できていますので、便利なんです。

特定事業所加算Ⅱを取得するためには、事前準備が大切です。加算の要件について解説しているページは多いのですが、どうやってが分からず、加算の取得を断念していると思います。そのどうやっての部分は、実は設備投資の部分なんですよね。ここの仕組みができていれば、要件はスムーズにクリアする事ができるようになります。そのため、初期投資は掛かりますが、結果働きやすい職場を作る事ができる事や従業員の質が向上する事、加算を取得し、今後の報酬が上がる事を考えると基は全然取れます。

※もし、御社が神奈川県にある事業所で、在宅や直行直帰で仕事ができるようにPCやスマートフォンを購入する必要があるのであれば、神奈川県テレワーク導入促進事業費補助金を活用する事をお勧めします。令和4年7月29日まで募集しております。

2.体制要件

(1)事業所の全ての訪問介護員等(サービス提供責任者・登録型の訪問介護員等を含む。以下同じ。)に対し、訪問介護員等ごとに研修計画を策定し、当該計画に従い、研修(外部における研修を含む。)を実施又は実施を予定していますか。
※全ての対象職員について、能力に応じた個別研修計画を作成してください。一律全体向けの研修のみでは不可。

イーケアラボさんのWEB研修を導入しております。

①研修の年間計画を作成し、毎月訪問介護に従事する従業員は受講をしております。イーケアラボさんを選定した理由は、管理画面により、受講の進捗度合が分かる事と、感想文を記載する事から各従業員の研修の受講姿勢が分かる事です。費用も意外と安いです。年間研修を行う事で、従業員の知識が一定になり、サービス提供の質が向上するのを実感します。

②研修の個別計画を作成し、半年単位で実施しております。パートさんは基本的にはイーケアラボの中から3階層位にわけて同じ研修内容を行っております。社員については、認知症の実践者研修や認知症のリーダー研修、喀痰吸引研修などを中心に行っております。又、サービス提供責任者については、リーダー研修や部下育成研修などウイリング横浜の外部研修を多く活用しております。

(2)利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達又は事業所における訪問介護員等の技術指導を目的とした会議を定期的(概ね月に1回以上)に開催しますか。

毎月1回、技術指導を行ったり、利用者の情報共有を行っております。コロナ禍なので、小グループで実施しておりますが、今後は、ZOOMを使って実施できるように従業員に講習をする予定です。サービス提供に当たっての留意事項については、SNS(LINE)を使って随時事務連絡を行っております。

※ZOOMなどを活用する場合、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守する必要があります。わかりやすく言うと、個人の携帯やPCではなく、会社の携帯やPCを使っていないとダメってことです。

(3)指定訪問介護の提供に当たっては、サービス提供責任者が、当該利用者を担当する訪問介護員等に対し、当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を文書等の確実な方法により伝達してから開始するとともに、サービス提供終了後、担当する訪問介護員等から適宜報告を受けますか。

請求ソフト(当社は、カナミック)の記録アプリ(カナミックのカナエルタッチ)を使って入力しております。「サービス提供責任者が、当該利用者を担当する訪問介護員等に対し、当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を文書等の確実な方法により伝達してから開始する」とは、サービス開始前に、指示をする事になります。カナエルタッチの中の指示書に該当します。指示書や記録はカナエルタッチを使う事で解決しました。記録はサービス提供が終わった後に入力してもらえばいいのですが、指示書の方が大変です。指示書は、サービスが終了してからでないと入力する事ができません。

問題として、当社のサービス提供時間が8時~18時までです。18時のサービス終了後、その利用者が翌日の8時から開始の場合、サービス提供責任者が18時のサービス終了後から指示書を作成しなければなりません。

この問題を①ファイルサーバーの導入、②会社がPCを自宅に貸与する事、③ジョブカン勤怠によるクラウドでの出退勤の管理、④みなし残業代の付与により解決しました。サービス提供責任者は、18時から8時までの間で、自宅で空いた時間に指示書の入力をしてもらう。その分の給与は、みなし残業代で支払う事で、従業員と合意できました。指示書の入力の為18時以降も会社に残ってもらったり、指示書の入力のために会社に戻ってくる必要性を排除いたしました。

(4)事業所の全ての訪問介護員等に対し、健康診断等を定期的(少なくとも1年以内ごとに1回)に実施しますか。

通常の健康診断を当社では毎年1回会社負担で全従業員に実施しております。

(5)指定訪問介護の提供中に利用者に病状の急変が生じた場合など、緊急時等の対応方法が利用者に明示されていますか。

緊急時等の対応方法は、下記の内容を重要事項説明書に組み込んでいます。

3.人員要件

(1)事業所の訪問介護員等の総数のうち、常勤換算方法で「介護福祉士の占める割合が30%以上」又は「介護福祉士・社会福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者・1級ヘルパーの合計で50%以上」配置している。 

「介護福祉士・社会福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者・1級ヘルパーの合計で50%以上」配置する事で、要件をクリアするのが時間がかかるが簡単です。当社では、基本的に実務者研修まで費用は会社負担で講習中の時給保証を行っております。パート及び契約社員8名中、介護福祉士1名、実務者研修修了者5名います。サービス提供責任者は、介護福祉士のみとなっており、介護福祉士3名となります。よって、訪問介護に従事する職員11名に対し、実務者研修修了者以上は9名となります。余裕をもって50%以上をクリアする事ができます。

尚、50%以上の考え方は、勤務形態一覧表を作成し、その月の総労働時間の内、実務者研修修了者以上の勤務時間が50%以上という事です。

※御社がもし神奈川県の事業所であれば、介護職員研修受講促進支援事業費を活用する事をお勧めします。研修費用や人件費の半分位は戻って来ます。また、雇用保険加入者であれば、人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)人材開発支援助成金(特定訓練コース、一般訓練コース)の活用をお勧めします。

以上により、特定事業所加算Ⅱの要件を満たす事ができます。